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ある音楽家との距離と彼がいない新しい世界

KANさんが亡くなった、とのニュースを昼のニュースで知った。正確には5日前に逝去されて本日発表である。やる必要のあることを離れると喉から目の奥が詰まる感じがする。

僕の10代後半から、楽しんで歌って励ましてくれた音楽を作った人だった。以降、ライブに5,6回行けた。ほぼCDは買っていた。忘れられない思い出の幾つかは彼の音楽とともにある。5年前くらいまでは、毎週彼の出るラジオは聴いていた。最近、ラジオを聴かなくなり、最新のCDは買っていなかった(サブスクも未加入)。でも、彼の音楽は自分の宝だし、ひょうきんで洒落の効きすぎたセンスも好きだった。好きなアーティストは?と聞かれたら、彼を4人以内に挙げるだろう。すごい音楽家である。今年、容易でない病気となったニュースを見たが、何故かそんなに深刻に考えなかった。彼は憧れであり、要するにファンだった。

大切な方がこの世からなくなることはつらい。だが人は生きて死ぬ。3秒に1回は誰かにとって大切な方が死んでいる。ニュースでは桁数のある死が流れている。それぞれの死に自分なりに向かう姿勢を身に着けたいものだ。大切な人を失って自分を保つ自信はないが、先年の母や父の死で自分の気持がどのように動いたか、動いているかを経験した。同級生や友人、世話になった先生や先輩も亡くなった。これまでも好きな有名人や作家が亡くなった。今日はすごく好きな音楽家の死を知った日だ。失った部分が大きいほど、動きにくくなり、胸のつまりは大きくなる。しっかり悼んで良く思い出し、涙と後悔とともに沈もう。時間は癒やしてくれる。それからゆっくり立ち上がると新しい世界が迎えてくれる。そう、生きる彼がいない新しい世界が僕を迎えてくれるだろう。きっとそこでも彼の音楽が励ましてくれる。